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「こんなことは私たちでおしまいにする!」
これは、ロシアの反戦運動を率いるフェミニスト、ダリア・セレンコの作品の中で、主人公 が口にする言葉です。自分たちの社会に当然のようにはびこる女性たちへの不利益な待遇、 あるはずなのに認められない権利や自由、周りに溢れる暴力、挙句の果ての戦争。
そんな社会を次の世代に引き渡すことなどできない――そう思って立ち上がった女性た ちがロシアには過去にもいました。100 年前に革命家となった女性解放運動家たち、ソ連時 代に地下活動を行ったフェミニストたち、そして今、反戦運動の中心にフェミニストたちが います。文字通り、権力との命がけの闘いに身を投じる女性たちは、どんなふうに社会を見 ていた・いるのか、そして、どんな社会にしたいと思っていた・いるのでしょうか。
理想の社会を諦めないロシアのフェミニストたちが何を考え、何をしてきたのか、皆さん と一緒に見ていきたいと思います。
高柳聡子
ロシア語文学・フェミニズム研究者。著書に『ロシアの女性誌時代を映す女たち』(群像社、2018 年)など。ロシアのフェミニスト詩人で反戦活動家 ダリア・セレンコの自伝的小説『女の子たちと公的機関』をエトセトラブックスより近刊予定。