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【終了】第10回「日本を取り戻す、おじさんたちから。」(2020/10/30)
ゲスト:能川元一(大学非常勤講師)
見渡す限りのおじさんの群れから選出された、71歳の新首相――。
その光景は、この国がいまだに、たくさんの「おじさんたち」によって支配されているということを改めて私たちに強く印象づけました。
「聡子の部屋」第10回では、数え切れないほどの疑惑と問題を起こしてきた安倍政権の7年8ヶ月を振り返りながら、「おじさんたち」に支配されるこの国と私たちのこれからについて考えます。
ゲストは、「ネット右翼」をはじめとする右派論壇研究の第一人者である能川元一さんです。
+++ 能川元一さんコメント +++
憲政史上最長の在任日数となった直後の辞任表明でさまざまな憶測のなか終りを迎えた安倍政権。「安倍晋三」という政治家は右派団体や右派メディアの強い支持をうけるだけでなく、右派月刊誌にたびたび登場して右派との近さを隠そうともしなかった点で、自民党政権の首相の中でも異例の存在だった。マスメディアは「日本会議」との関係などキャッチーな部分にこそ目を向けたものの、右派の期待に応えるかたちで日本政府がコミットするようになった「歴史戦」―国際社会を舞台とする「歴史認識」の戦い―についてはほとんどとりあげなかった。歴史認識のなかでもとりわけ植民地支配の歴史に対するこの社会の意識が、7年を超える安倍政権時代に大きく変化したのではないか。
また、第二次安倍政権は政策の“中身”に対する評価以上に、公文書の隠蔽や改竄、「痛感」はされても決して果たされない任命責任、縁故主義、恣意的な官僚人事、憲法53条に基づく国会招集要求の無視、不透明な「中抜き」など、政府への信頼にかかわる部分での疑惑が問題視された政権であり、同時にそうした疑惑を強引に乗り切ることに成功した政権でもあった。7年を超える長期政権は、安倍政権がもたらすとされるなにものか―例えば株価のような経済指標―のためであればこれらの不正義を看過する人々がこの社会に少なからずいる、ということの証でもあったわけだ。
安倍政権は終わってもその負のレガシーは私たちの前に残されたままだ。まずはその“査定”からはじめねばならない。
日 時:2020年10月30日(金)18:30開場/19:00開演
参加費:1500円
能川元一(大学非常勤講師)
1965年東京都生まれ、1996年大阪大学大学院人間科学研究科単位取得退学。専攻は哲学。同研究科助手をへて現在神戸学院大学他で非常勤講師。2000年代なかばからインターネット上のヘイトスピーチや歴史修正主義的言説に危機感をいだき、いわゆる「ネット右翼」を研究対象とすることを選ぶ。その後ネット右翼に主張の原型を提供している右派論壇へと関心の重心を移した。共著に『憎悪の広告』(合同出版、2015年)、『海を渡る「慰安婦」問題』(岩波書店、2016年)、『右派はなぜ家族に介入したがるのか』(大月書店、2018年)、『まぼろしの「日本的家族」』(青弓社、2018年)など。
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