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ゲスト:松岡宗嗣
「おれもうおまえがゲイであることを隠しておくのムリだ」
一橋大学大学院のロースクールに通うAさんが校舎から転落死してから6年。
遺族がアウティングをしてしまった同級生と大学に対し損害賠償を求めた裁判で控訴審判決が下されてから、2021年11月25日でちょうど1年が経ちました。
本人の性のあり方を同意なく勝手に暴露する「アウティング」の危険性は世間的にも認知されてきました。
しかし、「アウティング=絶対してはいけないこと」という原則でとどまって良いのか、アウティングの実態はもっと複雑で、その境界線はあいまいではないか。
そもそもなぜアウティングが命の危険につながってしまうのか。
その背景にあるジェンダーやセクシュアリティに関する規範、大学組織の問題、性的マイノリティに限らない「暴露」の問題などについて議論します。
▶︎松岡宗嗣(まつおか・そうし)
1994年愛知県名古屋市生まれ。明治大学政治経済学部卒。政策や法制度を中心とした性的マイノリティに関する情報を発信する一般社団法人fair代表理事。ゲイであることをオープンにしながら、HuffPostや現代ビジネス、Yahoo!ニュース等で多様なジェンダー・セクシュアリティに関する記事を執筆。教育機関や企業、自治体等での研修・講演実績多数。2020年7月、LGBT法連合会・神谷悠一事務局長との共著『LGBTとハラスメント』(集英社新書)を出版。近著に『「テレビは見ない」というけれど――エンタメコンテンツをフェミニズム・ジェンダーから読む』(青弓社)、『子どもを育てられるなんて思わなかった――LGBTQと「伝統的な家族」のこれから』(山川出版社)。本作が初の単著となる。
▶︎終了後に松岡さんより感想コメントをいただきました!
この度は貴重な機会をいただき、ありがとうございました!
イベントでは、一橋大学アウティング事件の経緯から、大学のハラスメント対応の制度的な問題について議論したり、ジェンダーやセクシュアリティに限らない「暴露」の問題として、在日コリアンの当事者間での暴露、妊娠・出産や不妊治療に関する情報など、より具体的なケースを紹介しながら議論することができました。
アウティングの問題は、単なる”個人”の秘密の暴露という”私的”な問題だと思われてしまうことが多いですが、そもそもなぜアウティングが「命」の危険に繋がる可能性があるのか。その背景にはまさに、社会に根強く残る性的マイノリティに関する差別や偏見という構造的な問題があります。
「アウティング」という問題を切り口に、そうしたマイノリティを取り巻く構造に目を向けてもらえたら嬉しいです。
聡子さんとの対話を通じて、拙著で伝えたかったこと、伝えきれなかったことなどをより一段深掘ってお話することができました。またぜひ機会があれば、お話させていただけますと幸いです。ありがとうございました。
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